日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
脳血栓の死亡と再発
151例の3年間の追跡調査
西丸 雄也尾前 照雄
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1972 年 9 巻 1 号 p. 42-50

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抄録

発症後1ヵ月以上生存した脳血栓151例を3年間追跡し, 発症後3年間の死亡と再発について調査した. 死亡は37例 (25%) であり, これは性・年令を一致させて算出した予測死亡率 (7%) に比べて明らかに死亡例が多かった. また37例中11例は脳卒中の再発による死亡であった. 死亡例が多くみられた臨床所見として, 意識障害, 精神異常, 脳波の中・高度異常, およびこの3症候の合併などのいわば重症なもの, 蛋白尿, BUN増加, 脳血管写上の狭窄性所見, 頭部循環血液量減少などのいわば脳循環動態の不良などがみられた. 3年間の再発は29例 (20%) に起こり, 2年目に再発が多かった. 再発が多くみられた臨床所見としては, 60才以上の場合の軽症例, 心電図上に左心室肥大, ST低下, T変化のいずれかを示した症例, 脳血管写上100%未満の狭窄性所見などであり, 動脈の完全閉塞所見を呈した症例に再発はみられなかった.

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