日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
有機酸類の抗菌性
低食塩化食品における腐敗微生物の抑制に関する研究(第1報)
山本 泰東和 男好井 久雄
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1984 年 31 巻 8 号 p. 525-530

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抄録

(1) 供試したすべての有機酸は塩酸を用いた場合よりも高いpHで細菌類の生育を阻止しており,pH以外の有機酸の持つ抗菌性が強く作用していることが明白であった。
(2) 特に,揮発性低級脂肪酸であるプロピオン酸,酢酸,蟻酸は耐酸菌を除く他のすべての菌の生育をpH4.5以上で阻止し,比較的pHの高い条件下での抗菌作用が期待される。
(3) 食品への利用を考慮したpH 5.0での抗菌力の比較試験では酢酸が最も強く,次にコハク酸と乳酸が強かったが,クエン酸,酒石酸,リンゴ酸は弱かった。この抗菌力の強さは非解離型分子の濃度比率とよく一致していた。
(4) 酢酸はpH 5.0では0.5%の濃度で乳酸菌以外のすべての供試菌の生育を阻止した。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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