日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
温州ミカン果汁の品質改善と果皮利用に関する研究
(第2報) 温州ミカン果皮より分離した精油について
伊福 靖前田 久夫沢村 正義筬島 豊芥田 三郎
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1975 年 22 巻 5 号 p. 217-221

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抄録

温州ミカンを1973年11月から1974年3月にわたり,インライン式搾汁機により搾汁した粕の洗浄液より精油を分離し,時期別に精油の物理化学恒数および精油成分について調べ次の結果を得た。
(1) 精油収量は12月,1月,2月の順に多く11月と3月が少なかった。11月が少ないのはこの時期の原料ミカンが早生温州であるためと,3月は原料ミカンの貯蔵期間が長いためと考えられた。
(2) 精油の物理化学恒数のうち,比重,屈折率は時期別にみてほとんど変らず,酸価は11月が最低で順次高くなり3月が最高値を示した。エステル価は3月,11月が高かった。アルデヒド含量は11月が高く順次低い値となった。
(3) DEGS, PEG-6000の2種のカラムの比較で,低沸点成分に対してはDEGSの方が分離良好であったが,高沸点成分および昇温に対してはPEG-6000が分離良好で,昇温で26成分が分離できた。
(4) 精油の芳香成分中98%前後がd-limonene,r-terpinene, myrcene, α-pinene, β-pineneなどのテルペン系炭化水素で占められており主成分はd-limoneneであった。その他高沸点部の微量成分としてテルペン系アルコール,セスキテルペン炭化水素などが含まれていた。

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