納豆発酵過程での香気成分変動を明らかにするため,納豆菌接種前の煮豆および接種後3,7,12,18時間の納豆をサンプリングし,香気成分をGC/MSシステムによって分析した.香気成分一斉分析用に開発されたソフトウェアMetAlignおよびAIoutput2を用いてデータ解析した結果,38種の香気物質が同定あるいは推定された.この内23種は納豆菌接種前の煮豆からも検出された.煮豆に存在した成分のうち6種は発酵が進むにつれて減少あるいは消滅し,12種については発酵過程での変動は小さく発酵前後での違いが顕著ではなかった.5種は納豆発酵中に増加した.納豆の主要な香気成分であるピラジン類や短鎖分岐鎖脂肪酸を含む12種の香気成分は納豆菌の増殖が定常期に達した頃(12時間後)に急激な上昇が見られた.