日本食品科学工学会誌
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徐放性粉末魚油の調製
青木 茂太仲川 清隆半澤 康彦松本 俊介阿久津 光紹君塚 道史下山田 真西川 正純宮澤 陽夫
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キーワード: 粉末魚油, DHA, EPA, 徐放性
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2014 年 61 巻 10 号 p. 467-474

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抄録

はじめに粉末魚油の調製条件を確立した.調製した粉末魚油の脂質含量は74 %と高く,現在市場に出ている植物油脂を使用した粉末油脂の脂質含量(70〜75)%に匹敵した.本研究で調製した2種の粉末魚油(FPO-1670とFPO-170, 1670)には,DHAが152mg/g,EPAが41mg/g含まれていた.次いで,DSCやHS-GC分析,過酸化物価の測定により,FPOに対して,粉末魚油(FPO-1670とFPO-170, 1670)の酸化安定性の向上を確認した.さらに,水と人工胃液および有機溶媒中への溶出試験によって,粉末魚油の徐放性を確認した.すなわち,酸化安定性と徐放性を備えた粉末魚油を調製した.この摂取により,DHAやEPAは消化管から穏やかに吸収され,これら脂肪酸の健康機能を効果的に享受できると期待された.この証明に向けて,現在,ヒト試験を進めており,ヒトにおける徐放性が明確となれば,本徐放性粉末魚油は多種多様な食品や加工食品に活用できると期待された.

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© 2014 日本食品科学工学会
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