日本食品科学工学会誌
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熱水により抽出した紅茶香気に寄与する成分
熊沢 賢二増田 秀樹西村 修加藤 竜夫
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1998 年 45 巻 12 号 p. 728-734

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抄録

熱水により抽出した紅茶の香気寄与成分について検討し,以下の結果を得た.
1) 紅茶の熱水抽出液よりカラム濃縮法を用いて香気を分離濃縮した.カラムからの香気成分の溶出に用いる溶媒組成をジエチルエーテル:イソペンタン(4:1)とすることにより,GC分析可能な試料を調製することができた.
2) AEDAによりFD-ファクターを測定し,ダージリンの熱水抽出液香気に寄与する23ピークを見いだした.さらに,GC-MSおよびMDGCを用いて23ピークに含まれている28の香気寄与成分を明らかにした.5-ethyl-2,3-dimethylpyrazine,2-acetyl-3-methylpyrazine,2-hydroxy-3-methyl-2-cyclopenten-1-one を茶類(不発酵茶,半発酵茶,発酵茶)より初めて確認した.また,4-vinylguaiaco1を紅茶中に初めて見いだした.
3) AEDAによりダージリンの熱水抽出液中に確認した香気寄与成分は,アッサムおよびウバの熱水抽出液でも全て確認することができた.その結果,3種の紅茶の熱水抽出液の香気差は含有する香気成分の種類の違いによるものではなく,それらの成分量の差に起因するものと考えられる.

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