酢酸耐性および酢酸生産速度の高い酢酸菌株の取得を目的として,食酢醸造場より採取した発酵液を試料として,連続培養法による分離と培養液中のエタノール濃度の制御による回分培養法による選択を行い,分離・選択した菌株の各種の性質を調べた.
(1) 連続培養において培養液中の酢酸濃度が193g-acetic acid/lにおいても酢酸を生産し,増殖可能な菌株が20株得られた.
(2) 得られた20株についてエタノール濃度を約1%(v/v)に制御した回分培養を行った結果,ほとんどの菌株が16%(w/v)の酢酸を生産した.この内のNo.11株は,60hで172g-acetic acid/lの酢酸を生産した.
(3) 選択したNo.11株は,培養温度を24℃とした回分培養において185g-acetic acid/lの高濃度の酢酸を生産した.
(4) 分離・選択した菌株No.11は,Acetobacter acetiと同定した.