日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
回転粘度計(ビスコグラフ)による豆乳凝集工程の計測
豆腐,凍り豆腐製造における豆乳の凝固に関する研究(第3報)
小原 忠彦黒河内 邦夫大日方 洋松橋 鉄治郎
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1992 年 39 巻 7 号 p. 578-585

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抄録

豆乳の品質管理や凝集工程の自動化を目的とした計測技術の開発を図るため,回転粘度計(ビスコグラフ)を使用した新計測システムについて検討した.
(1) 豆乳に連続的に凝固剤(CaCl2)を添加し,回転粘度(トルク)の変化を連続記録した(トルク曲線).回転粘度計の出力はパソコンに取り込むことにより,曲線の作図および数値処理が瞬時に行えるようになった.
(2) 凝固剤の連続添加に伴う回転粘度(トルク)の変化は,凝固剤添加開始後,一定時間後にトルクの立ち上がりと最大トルクの出現,その後のトルクの減少といった山形の曲線で示された.最大トルク(MV),平坦トルク(FV),最大トルク到達時間(MVT)を指標にして,凝集条件との関係を検討した.
(3)豆乳濃度の増加に伴い,最大トルク,平坦トルクおよび最大トルク到達時間は増加した.
(4) 最大トルクと平坦トルクはともに凝集温度に,また最大トルク到達時間は凝集温度と容器の回転数の両者に影響を受けた.
(5) 豆乳に予め蔗糖(~0.3mol/l豆乳)や塩化カリウム(~0.08mol/l豆乳)を添加した場合,最大トルクと平坦トルクは減少するが最大トルク到達時間はほぼ一定であった
(6)最大トルク到達時間は電気伝導度測定法で求められる「凝固剤の臨界濃度点, Xml」値と相関関係があり,凝固剤適量に対応する値であることが確かめられた.

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