1992 年 39 巻 5 号 p. 406-411
豆乳の凝集工程において,豆乳の凝固剤の適量の計測を主目的として,電気伝導度計とパソコンを組み合わせた測定システムを創案し,これを用いて関係諸要因を究明した.
(1)豆乳に連続的に凝固剤(CaCl2)を添加し,電伝導度の変化を連続記録した.電気伝導度の出力はパソコンに取り込むことにより,電気伝導度曲線の作図および数値処理が瞬時に行えるようになった.
(2)凝固剤の連続添加に伴う電気伝導度の変化は,ある一つの塩化カルシウム累積濃度において折点(変曲点)を有する2直線で示された.また,この変曲点(Xml,YmS/cm)は回帰2直線の交点として,3分以内の短時間に計測することが可能となった.変曲点における凝固剤量を「凝固剤の臨界濃度点」Xmlと定義した.
(3)Xmlは,豆乳濃度が高いほど増大した.また,凝集温度60℃以上では一定であった.予め豆乳に~0.30mol/l豆乳の蔗糖,あるいは~0.036mol/l豆乳の塩化カリウムを添加してもXmlはほぼ一定であった.