日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
酵母に対する酢酸の生育抑制作用
低食塩化食品における腐敗微生物の抑制に関する研究(第3報)
山本 泰東 和男好井 久雄
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1984 年 31 巻 12 号 p. 772-776

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抄録

食品保存への応用を目的として,各種の酵母に対する酢酸の生育抑制作用について検討した。
(1) 非耐塩性酵母に対し酢酸は,pH 5.0において1%以上で対数的な生育抑制を示し,完全に生育を阻止するには3.5~4.0%を要した。
(2) 完全生育阻止に必要な非解離型酢酸分子濃度は1274~1456mg/100mlであった。
(3) 食塩の共存下で完全に生育を阻止するのに必要な酢酸の濃度は(5%-食塩%)0.7~+0.5%の範囲にあり,エタノール共存下で完全に生育を阻止するのに必要な酢酸の濃度は(6%-エタノール%)0.58~0.5%の範囲であった。
(4) 耐塩性酵母の生育を完全に阻止するには,食塩18%培地では1.3~1.4%,エタノール1%を含む食塩18%培地では0.4%の酢酸が必要であった。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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