日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
高度な呼吸困難を呈した縦隔原発悪性胚細胞腫瘍の1例
加藤 弘明田畑 佑希子阿部 大成田 吉明
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2017 年 31 巻 7 号 p. 921-926

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抄録

悪性縦隔胚細胞腫瘍の増大により高度な呼吸困難を呈した1例を経験した.19歳男性で,呼吸困難を訴えて受診し,胸部CTで気管,気管支の高度狭窄を来す130×95 mm大充実性の前縦隔腫瘍を認め,α-fetoprotein(AFP)が2643 ng/mlと高値であったことから悪性胚細胞腫瘍と診断した.緊急でBEP療法(ブレオマシン,エトポシド,シスプラチン)を開始し症状の改善が得られ,4コース施行後に腫瘍は縮小し,AFPも正常化したため手術を施行した.腫瘍の浸潤のため広範囲の右心房および上大静脈合併切除,人工血管による血行再建を行った.術中に一時的な洞室接合部調律がみられたためペーシングリードの留置を行った.経過は順調で術後22日目で復学が可能であった.現在4年が経過し再発なく生存中である.

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