2015 年 29 巻 5 号 p. 566-571
予後不良と報告される腺扁平上皮癌において,その臨床病理学的特徴を腺癌および扁平上皮癌と比較し,また再発因子について検討した.2005年から2013年まで,当科で根治的手術を行った肺腺扁平上皮癌20例(術後経過観察期間中央値13.5ヵ月(6-60ヵ月))を対象とし,同時期に根治手術を施行した腺癌710例,扁平上皮癌174例と比較した.喫煙指数,PET-CTでのSUV max,CEA,CYFRAなどが腺癌に比べ有意に高値であった.術後病理病期は,腺癌に比べてIA期が少なく,両群よりIIB期が多かった.また術後再発率は両群より有意に高く,多変量解析からはリンパ節転移陽性と血管侵襲が多いためと考えられた,術後再発を来した症例は10例であり,T因子や胸膜浸潤は再発因子にはならない一方で,高度の重喫煙者やCEAが高い症例で再発しやすく,また血管侵襲の高い症例において再発のリスクが高かった.