日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
限局性悪性胸膜中皮腫の1例
西 英行清水 信義
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 27 巻 1 号 p. 93-99

詳細
抄録

限局性悪性胸膜中皮腫(LMM)は非常に稀な疾患である.びまん性悪性胸膜中皮腫(DMM)との関連が解明されておらず,標準治療は確立されていない.症例は65歳男性.石綿曝露歴があり,咳嗽が出現し,胸部単純X線写真にて左上肺野に異常影を指摘された.胸部CTおよびMRIでは,比較的境界明瞭で内部不均一な胸壁を取り囲む7 cm大の腫瘤を認めた.組織針による生検にて上皮型胸膜中皮腫と診断された.PETおよび胸腔鏡所見より限局性と考え,浸潤の疑われた胸壁とともに腫瘤摘出術を施行したが,術後6ヵ月目に胸壁に再発し,放射線・化学療法中である.結語:本症例の再発形式は局所再発であったが,通常のDMMと異なり,播種癒合しびまん性に進展した可能性も否定できなかった.既報告ではLMMはDMMに比較して予後はよいが,今後の症例の積み重ねによる病態の解明および標準的治療法の確立が大きな課題である.

著者関連情報
© 2013 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top