日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
拡大胸腺摘出術後に微小変化型ネフローゼを発症した浸潤性胸腺腫の1例
長阪 智喜納 五月市原 智史横手 芙美桑田 裕美伊藤 秀幸
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2013 年 27 巻 7 号 p. 882-887

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抄録

症例は73歳,男性.胸部CT検査にて前~中縦隔右側に腫瘍を認め,左右腕頭静脈・心嚢にも浸潤を疑わせた.浸潤性胸腺腫の疑いにて手術を行なった.手術は胸骨正中切開に右第4肋間前側方切開を加え行なった.腫瘍の一部を術中迅速病理に提出,胸腺腫の診断を得た.心嚢切開後,右房浸潤を認め,人工心肺を確立,右房合併切除術を行い,その後拡大胸腺摘出術,上大静脈再建術を行なった.術後経過は良好で,胸部CTにてグラフト開存を確認後に退院となった.最終病理診断は胸腺腫B2/B3の診断であった.退院から2週間後に外来受診となった.その際,全身倦怠感を訴え,前脛骨部の浮腫が著明であった.胸部レントゲンにて両側胸水を認め,血液検査では急性腎不全の診断となり同日再入院となった.腎生検にて,微小変化型ネフローゼの診断に至り,腎臓内科に転科,治療を行なっていたが,術後9ヵ月後に誤嚥性肺炎にて失った.

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