2010 年 24 巻 1 号 p. 031-034
長期間持続した気胸に伴った円形無気肺の1例を経験したので報告する.症例は56歳女性.2004年の検診にて右気胸および右上肺野に3cm大の腫瘤影を指摘された.本人の希望により経過観察となった.それ以降も気胸は改善せず,陰影は緩徐に増大した.2008年9月に精査希望で入院した.気管支鏡検査では組織学的に悪性所見を認めなかった.右肺上葉の病変はその経過から良性病変が疑われたが,気胸が持続しており手術を施行した.病変は上葉のおよそ3分の2を占めており,右肺上葉切除術となった.病理検査では高度の胸膜肥厚とそれに伴う円形無気肺と診断された.同時に壁側胸膜に広範囲のびまん性胸膜肥厚を認め,生検を行ったが悪性所見はなかった.術後に気胸の再発はなく経過は順調である.