1996年1月より2002年12月までに当施設にて切除した80歳以上の高齢者肺癌26例を対象に, 術後合併症・予後について検討した.26例中24例は術前に併存疾患を有し, 13例に呼吸機能障害を認めた.また10例に他悪性疾患の既往を認めた.手術術式は標準手術 (肺葉切除以上) が17例, 縮小手術が9例 (区域切除5例, 部分切除4例) であった.縮小手術群は全例臨床病期IA期であった.術後合併症を11例 (42.3%) に認め, 標準手術群で有意に多く (p=0.036), 1例 (3.8%) が呼吸不全で在院死した.全症例の3年生存率は74.0%であり, 両術式間で生存率に有意差はなかったが, 標準手術群で良い傾向が認められた.的確な術前評価による手術適応及び術式の選択と厳重な周術期管理により, 手術は安全に施行でき, 予後も期待できる.また標準手術が困難なhigh-risk症例であっても, IA期であれば縮小手術により比較的良好な予後が得られる可能性が示唆された.