日本呼吸器外科学会雑誌
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気管原発悪性腫瘍4例の経験
八柳 英治平田 哲小久保 拓森山 博史越湖 進杉本 泰一野坂 哲也山崎 弘資笹嶋 唯博久保 良彦
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1997 年 11 巻 7 号 p. 877-883

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抄録

教室で経験した気管原発悪性腫瘍4例について検討した.内訳は腺様嚢胞癌, 扁平上皮癌が各2例であった.呼吸困難が全例に, 咳嗽, 血痰が各2例に認められ, 平均病悩期間は13ヵ月であった.気管管状切除端々吻合術, 喉頭気管合併切除+永久気管瘻造設術, 分岐部直上気管膜様部切除術, 分岐部鞍状切除術 (Lowering the tracheal carina) を各1例に施行した.腺様嚢胞癌2例はともに術中病理で断端陽性であったが追加切除は行わなかった.扁平上皮癌では2例中1例にリンパ節転移が認められた.縦隔リンパ節転移が認められながら術後照射を施行しなかった扁平上皮癌症例は1年9ヵ月後に再発死亡したが, 術後照射施行例2例を含む他の3例は9~14年経過した現在無再発生存中である.気管原発悪性腫瘍には, 根治性を求め外科的切除を第一選択とすべきであるが, 腫瘍特性や発生部位, 患者の状態を考慮し切除範囲, 術式を決定することが重要と考えられた.

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