膵臓
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原著
当院でMCNとして診療した46例の検討
―MCN疑い病変の経過観察は可能か―
谷口 孝伸佐々木 隆武田 剛志古川 貴光三重 尭文澤田 雅志金田 遼春日 章良松山 眞人尾阪 将人井上 陽介髙橋 祐高松 学高澤 豊笹平 直樹
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2020 年 35 巻 2 号 p. 201-212

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抄録

【背景】MCN(mucinous cystic neoplasm)疑い病変について,本邦では原則切除されることが多いが,欧米では悪性所見がない例は経過観察されている.そこでMCN疑い病変を経過観察することの是非・方法について検討した.【方法】当院でMCN疑いあるいはMCNの確定診断で診療した46例につき,診断能と悪性予測因子を後ろ向きに検討した.【結果】MCN29例・類似他疾患10例・MCN疑い7例に分類された.壁在結節5mm未満かつ嚢胞径40mm未満のMCNは全例腺腫であった.同様に類似他疾患もこの基準で良悪を判別できた.MCNの多くは年単位の画像所見の変化を示した.腫瘍性結節の検出感度はCTが96%,MRIとEUSが100%であった.【結語】「壁在結節5mm未満かつ嚢胞径40mm未満」を基準として,初回は2~3ヶ月後に,その後6~12ヶ月毎のCT・MRI・EUSで,MCN疑い病変の経過観察は可能であると考えられた.

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© 2020 日本膵臓学会
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