肝臓
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症例報告
続発性ヘモクロマトーシスを背景とした肝細胞癌門脈腫瘍栓再発に対し放射線治療が著効した1例(続報)
井上 亨悦水間 正道大塚 英郎中川 圭林 洋毅岡田 恭穂吉田 寛元井 冬彦内藤 剛片寄 友神宮 啓一海野 倫明
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2015 年 56 巻 4 号 p. 150-156

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抄録

症例は67歳男性.門脈腫瘍栓を伴う肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma:HCC)である.骨髄異形成症候群に続発したヘモクロマトーシスを背景に発症したHCCで,これまでに複数回の肝切除及び開腹ラジオ波焼灼療法(Radiofrequency ablation:RFA)の治療歴がある.2011年2月のCTで肝S4のRFA焼灼部のすぐ尾側に直径4.2 cmの腫瘍を認め,門脈臍部へ連続する腫瘍栓を認めた.現在推奨されている各治療法が選択困難な状況のため放射線療法を選択し,腫瘍及び腫瘍栓が画像上消失した.HCCに対する放射線療法はエビデンスがないものの,有効であったとする症例報告が散見される.本症例のように標準的治療法が適応困難な症例に対しては,放射線療法を治療選択肢の一つとして積極的に考慮すべきと考えられるため報告する.

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© 2015 一般社団法人 日本肝臓学会
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