肝臓
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原著
函館地区で発生したE型急性肝炎に対する臨床的,ウイルス学的,疫学的検討―函館4病院における症例探索から―
梅村 真知子渡邉 豊小川 浩司山本 義也矢和田 敦榮浪 克也長佐古 友和川村 直之工藤 峰生松林 桂二狩野 吉康姜 貞憲水尾 仁志岡本 宏明高橋 和明安倍 夏生新井 雅裕三代 俊治
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2014 年 55 巻 6 号 p. 349-359

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抄録

2007~10年の4年間に,函館市内4病院で診療した13例,函館市内で感染し札幌で発症した1例の計14例のE型肝炎ウイルス(HEV)感染者を対象とし,E型肝炎の臨床像,感染経路の解析およびウイルス遺伝子の系統解析を行った.道南地区における有症状の非A非B非C型急性肝炎のうちE型の頻度は24.2%であった.E型肝炎14(男8:女6)例中,4(男1:女3)例が重症化しそのうち3例は劇症肝炎を呈し2例は死亡した.13例から分離されたHEV RNAゲノムのORF 1 326塩基に対し遺伝子系統解析を行ったところ,3株はgenotype 3,10株はgenotype 4に属した.genotype 4の7株は既報のKitami/Abashiri strainに,2株は札幌圏小流行を起こしたNew Sapporo strainに属した.患者の職業,食肉嗜好,居住地等は共通点に乏しかった.感染源として,従来から指摘されている動物の内臓肉に加え,生の貝類が疑われた.

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© 2014 一般社団法人 日本肝臓学会
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