肝臓
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薬物性肝障害におけるリンパ球刺激試験の診断的価値と診断指針の評価
渡辺 真彰渋谷 明隆里道 哲彦小野 弘二土橋 健日高 央國分 茂博西元寺 克禮
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2001 年 42 巻 9 号 p. 448-454

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抄録

薬物性肝障害の診断には, 本邦ではリンパ球刺激試験 (DSLT) を重視した診断指針 (薬物と肝研究会, 1978年) が用いられている. 一方欧米では臨床所見や過去の報告等を点数化した診断指針 (Maria, CIOMS) が用いられている. 我々は薬物性肝障害を疑った58例について, DLSTの意義と各診断基準の相互関係について検討した. その結果, 日本の診断基準でみるとDLSTは感度59.5%, 特異度100%, 陽性適中率100%, 陰性適中率48.5%であったが, CIOMSの基準では43.4%, 60%, 92%, 9.1%であった. 本邦の診断基準に比しCIOMSの基準は診断域が広く, Maria の診断基準の compatible case を包括していた. 各診断基準と臨床病型・被疑薬の種類との間に一定の傾向はなかった. 以上より, DLSTは有用な検査ではあるが, 陰性であった場合でも薬物性肝障害を否定できず, 診断能には限界があることから, 臨床的情報を加えた新しい診断基準の設定が必要である.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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