肝臓
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腹腔鏡色素撒布所見からみたC型慢性肝炎の進展様式について
長谷部 千登美
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1994 年 35 巻 4 号 p. 279-288

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抄録

C型慢性肝炎の進展様式について,腹腔鏡色素撒布所見と,腹腔鏡直視下肝生検による組織診断とを併せ,B型慢性肝炎と比較しながら検討した.対象は,C型慢性肝炎263例で,うち74例は経過観察例である.C型慢性肝炎の初期においては,肝表面に散在する淡い色素貯留部が高頻度に認められたが,この所見は限局的に生じた炎症部位を反映するものであった.つまり,強い炎症が散在性に生じるのがC型肝炎の特徴であり,その所見を的確にとらえられる腹腔鏡検査の有用性が確認された.また,このような病変部が徐々に増加して肝病変の進展をきたすことから,B型肝炎と比べ長い経過をとって徐々に進展するC型肝炎の自然経過が説明しうる.そしてさらに進展すると,従来から指摘されていたような,限局性の赤色紋理や溝状陥凹などで特徴づけられる部位差の大きい肝表面像を呈することが明らかになった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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