肝臓
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画像診断の解離した多中心性発育の原発性肝細胞癌症例の検討
末永 昌宏堀澤 増雅中尾 昭公野浪 敏明原田 明生星野 澄人市原 透森 敏宏青木 英明朝日 憲治岸本 若彦加藤 俊之国場 良和鈴木 夏生笠井 保志高木 弘中島 敏郎荒川 正博
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1986 年 27 巻 6 号 p. 802-809

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抄録

原発性肝細胞癌(HCC)の画像診断上最も重視されるのは血管造影における血管増生所見である.しかし我々は教室において過去6年半に肝切除を行ったHCC症例78例中の4例に,血管増生所見を認めない多中心性発育のHCCを経験した.4例は全て肝硬変が併存したもので,計9個のHCC中7個が血管増生像陰性であり,そのうち6個はN/C比が大の異型性は比較的軽度の細胞が密集した成熟型のHCCであり,1例は脂肪沈着が著しいものであった.これらの組織では密集した細胞により類洞様血管腔が殆んど認められなく,血管造影において造影剤が充分に入り込めず,血管増生所見陰性となったものと考えられた.各症例の複数個のHCCは大部分が成熟型で,また症例毎にその特徴が異なり,且つ門脈内腫瘍塞栓もないことから,多中心性発育であると判断した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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