肝臓
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BSP試験およびICG試験が高度の異常を示した高間接ビリルビン血症の1例
高森 成之王 〓玉小笠原 孟史奥野 忠雄
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1983 年 24 巻 7 号 p. 781-788

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抄録

症例は25歳の男性で,血清総ビリルビン値2.5mg/dl(間接型1.7mg/dl),トランスアミナーゼ値の軽度上昇を認める以外一般肝機能検査正常.末梢血正常,クームス試験陰性,赤血球寿命より溶血を示す所見はなかった.ニコチン酸負荷試験陽性,低カロリー食試験(400cal)でInd. Bil.は1.3mg/dlから2.6mg/dlに増量を認めた.BSP(45')は21.8%, ICG (R15)は85.5%と高値を示した.ICG血中消失曲線で25分から30分にかけてstep formationを認める時期があった.ICGの移行率ではa(肝の摂取率),h(胆汁への排泄率)は低値を示した.肝組織所見は,光顕で軽微な変化を認めるのみで,電顕像では肝細胞質の滑面小胞体の増加と小粒状化,粗面小胞体の減少,糸粒体の多種の形態,Disse腔ではreticulum fiberの増生と,微絨毛の減少を認めた.以上の所見より,本症例は高間接ビリルビン血症にBSPとICGの色素排泄高度異常を認め,既知のGilbert症候群とは異なる稀な症例と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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