肝臓
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肝切除後, 早期に遠隔転移を認め, 診断に難渋した肝原発神経内分泌癌の1例.
山中 秀高末永 昌宏国場 良和田中 穣飛永 純一初野 剛
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1998 年 39 巻 4 号 p. 261-267

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抄録

症例は64歳, 男性. 肝腫瘤にて入院. 入院時検査成績でCEA7.9ng/mlと高値であった. 腹部USで肝前区域に径3cmの低エコー腫瘤を認め, 腹部CT上, ring enhancementを示した. 腹部血管造影上淡い腫瘍濃染像を認め, 胆管細胞癌と診断し, 肝前区域部分切除術を行った. 摘出標本は軟らかく, 褐色調を呈し, H-E染色上では確診が困難で, 各種の特殊染色にて胆管由来の神経内分泌癌と確診された. 進行度はstage I. であった. 術後52日目に第VII胸椎以下の両側完全麻痺を来し, 胸椎X-P, 骨シンチ, MRIにて第VII胸椎転移を認めた. 放射線治療にて麻痺は軽快したが, 術後5カ月目に左上肢の強直性間代性痙攣を来し, 頭部CTにて多発性脳転移を認めた. 現在, 対症療法にて経過観察中である. 以上, 組織診断に難渋したstage I. の胆管由来の神経内分泌癌で術後早期に, 急速な遠隔転移を来した1例を報告する.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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