肝臓
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肝細胞腺腫の1切除例
小西 大竜 崇正木下 平河野 至明長谷部 孝裕向井 清
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1995 年 36 巻 4 号 p. 223-229

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抄録

誘因のない21歳女性の肝細胞腺腫治療例を報告する.肝右葉には最大径24cmの腫瘍が認められ,右3区域切除を施行した.患者は2年を経て再発なく健在である.肝細胞腺腫本邦報告例84例の再調査の結果,11例が肝細胞癌と判断され,いまだ肝細胞癌との鑑別は困難であった.また15例が詳細不明であり,明らかな肝細胞腺腫は58例であった.58例中,欧米で大多数を占める経口避妊薬に起因する症例は3例のみであった.自験例の如く誘因のない症例は37例であり,単発で10cmを超えるものが多く,破裂例もみられた.また再発例1例を認め,肝細胞癌との鑑別の意味からも,治療として手術を施行すべきと考えられる.一方経口避妊薬以外のステロイド剤使用や糖原病に伴うものは18例であり,より若年者にみられ,多発する傾向にあった.特に糖原病に併発した症例は高頻度に切除後再発が認められており,手術適応は慎重に判断すべきである.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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