2008 年 23 巻 2 号 p. 138-144
がんの免疫機構が明らかになるとともに,強力なアジュバントであるCpG DNAやがん抗原をコードしたプラスミドDNAが,がんの免疫療法に有効な核酸医薬品になりうると期待されるようになってきた.しかしながら,核酸は,生体内における不安定性および投与後の標的細胞である免疫担当細胞への集積の低さにより充分な治療効果が得られない.よって,効果的ながん免疫療法を開発するためには免疫担当細胞へのターゲティング技術の開発が必要である.本稿では,免疫担当細胞に対するリポソームを用いた核酸のターゲティングによるがん免疫療法を概説する.