マイコトキシン
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シンポジウム
電子顕微鏡を用いた酵母のストラクトーム解析
山口 正視
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2010 年 60 巻 1 号 p. 43-51

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抄録

細胞の微細形態は,電子顕微鏡観察をはじめとした,これまでの多くの研究によって明らかにされ,すべてが解明されているかのような印象がもたれている.しかし,細胞あたりのリボソームの数や,小胞体の数や細胞内分布など,細胞構造の定量的,三次元的側面は未知の部分が多かった.私は,structure と-ome を組み合わせて,「ストラクトーム」という新語を造り,電子顕微鏡レベルにおける細胞の定量的,三次元的全構造情報を意味する新しい概念として提唱した.本稿では,酵母エキソフィアラ・デルマチチジスを材料として,凍結置換法と連続超薄切片法によりストラクトーム解析を行い,1個の細胞にリボソームは約20 万個存在すること,ミトコンドリアは17 ~ 52 個存在し,体積の10 パーセントを占めること,小胞体は5 ~ 10 個存在し,体積はわずか0.2 パーセントを占めるにすぎないことなどを明らかにした.

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© 2010 日本マイコトキシン学会
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