【背景】繰り返す失神発作に対して,放射線治療が有効であった副咽頭間隙失神症候群を経験したので報告する.【症例】68歳,男性,中咽頭癌.腫瘍切除術後に化学療法を実施した.その後,頸部リンパ節転移,頸椎転移に対して放射線治療を行ったが,以降の化学療法は行わず経過観察されていた.経口摂取困難のため入院となったが,激しい頭痛を伴う失神発作を繰り返すようになった.CTでリンパ節転移による副咽頭間隙失神症候群が疑われ,放射線治療を実施した.その結果,失神発作は著明に改善し,死亡前の3カ月間はほぼ生じることなく経過した.【結論】頭頸部癌で失神発作を繰り返す患者においては,副咽頭間隙失神症候群が鑑別診断に挙げられ,その際には放射線治療が症状緩和の選択肢となりうる.