日本畜産学会報
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尿素飼料給与ヤギの腸管内容液中アミノ酸含量およびその吸収に及ぼすメチオニン添加の影響
李 奎成田先 威和夫
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1977 年 48 巻 8 号 p. 474-480

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抄録

尿素飼料給与ヤギの体内窒素蓄積はメチオニン添加によって増加するが,これに関連して小腸内容液中のアミノ酸組成とその吸収に及ぼすメチオニン添加の影響を調査した.その結果,十二指腸に流入する各アミノ酸の濃度は,バリンを除く全アミノ酸においてメチオニン添加尿素飼料給与ヤギで高い傾向を示し,特にメチオニン,リジン,スレオニン,プロリン,チロシン,ヒスチジンの濃度は有意に増加した.メチオニン濃度にもとづいて計算した十二指腸内容液のケミカルスコアは,尿素飼料給与時の44よりメチオニン添加時には53まで向上し,合成された菌体蛋白質の栄養価値の改善されることが明らかになった.十二指腸内容液量に相当する回腸内容液中のアミノ酸含量は,メチオニンを除く全アミノ酸においてメチオニン添加尿素飼料給与時においても高い傾向を示した.また小腸内での各アミノ酸の吸収量を計算すると,メチオニン,リジン,プロリン,チロシン,アルギニンで有意に多くなった.十二指腸に出現したアミノ酸のうち小腸内で吸収された量の割合は,メチオニン添加尿素飼料給与時で57%,尿素飼料給与時では59%であり両者間にほとんど差がみられなかった.これらの結果より,尿素飼料給与ヤギの窒素蓄積に及ぼすメチオニン添加給与の効果は,反芻胃内で合成されたアミノ酸の濃度増加と,その組成変化による菌体蛋白質の栄養価の向上によることが示唆された.

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