鶏血清の低温細菌生育抑制効果を調べるため,5種の低温細菌を選び,血清およびそのグロブリン区分を添加して,生菌数測定によって菌の生育抑制効果を検討した.その結果,血清の細菌生育抑制効果はPseudomonus fluorescensとAlcaligenes uiscolactisに対して最も強く,Staphylococcus aureusとSerratia marcescensに対してやや弱く,Flavobacterium aquatideに対しては極めて弱いことが分った.作用物質は主として血清のグロブリン区分に含まれると推定され,鉄イオンの共存によってその作用が失われることが示された.鶏血清の示すこの作用は全般的に静菌的と考えられるが,実験結果の一部は溶菌的作用物質の存在を示唆するものであった.