日本畜産学会報
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ポリエチレンパイプによる生乳の平坦地輸送におけるパイプ長•内径•圧送圧力•送乳所要時間の関係
浜田 寛小石川 常吉石井 徳蔵入江 良三郎太田 英一
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1971 年 42 巻 11 号 p. 570-576

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抄録

圧縮空気を利用する生乳の平坦地輸送法は1961年にオランダで開発された方法であるが,技術上の基礎知見が不足している.そこで,送乳施設の設計に役立てるため,パイプ長•圧送空気圧力•送乳所要時間の関係を実験的に求めるとともにパイプ内径を含めてその理論解析を行なった.
実験は内径0.029m,水平直線状に敷設した長さ120-960mのポリエチレンパイプ,生乳の代わりに水,パイプ内の水を圧送するためのピストンとして薄手のポリエチレン袋で包んだ円柱状のウレタンスポンジおよびエヤートランスホーマーで0.5-3kg/cm2の種々な圧力に調整した空気を使って行ない,圧送開始時からパィプ内全容の水が吐出されるまでの時間を測定した.
使用したピストンは長さがごく短い(6-7cm)ので,その摩擦抵抗は小さく,したがって,それを無視することができる.また,上述の送水法におけるパイプ内の水はたえず一定圧力の空気により圧送されるので,パイプ内を加速されながら流れることになる.したがって,ピストンがパイプライン上の任意の位置へ来た時には,が成立する.ただし,γ:水の比重量[kg/m3], a:パイプ断面積[m2], L:パイプ長[m], x:パイプの入口からピストンまでの距離[m], g:重力加速度[m/sec2], v:流速[m/sec], t:時間[sec], p:空気圧力[kg/m2],λ:管摩擦係数,D:パィプ内径[m].
そこで,この式から近似計算法により次の理論式を誘導した.誘噂した式は,であり,λ:0.030と仮定した場合にこの式から算出されるtの値は実測値とよく一致した.
平坦地における生乳の輸送装置は,上式中のλに0.035を代入して計算した結果から設計できる.

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