2005 年 4 巻 4 号 p. 379-384
三倍体ビワの育種を進めるに当たり, ‘田中’ (二倍体), ‘田中’と四倍体‘田中’の交雑実生の三倍体および四倍体‘田中’の染色体数を確認し, その形態と結実性の差異を調査した. また, 四倍体ビワと二倍体ビワを正逆交雑した場合の結実性と三倍体ビワの出現率を調査した.
1. ‘田中’ (二倍体), ‘田中’の三倍体および四倍体‘田中’の各倍数体間には, 葉の大きさと厚さ, 気孔の大きさ, 花器の大きさ, 花弁の大きさおよび花粉粒直径に関して有意な差がみられ, 倍数性が高くなるに従ってそれらの量的な形質が増加した.
2. ‘田中’ (二倍体) ならびに‘田中’から作出された三倍体および四倍体系統の花房着生率はいずれもほぼ70%であり, 倍数体間に大きな差異はみられなかった. 花粉発芽率は, ‘田中’とその四倍体系統では95%と高かったものの, 三倍体系統では8%と著しく低く, その結実率も0.1%と極めて低かった.
3. 四倍体ビワと二倍体ビワを正逆交雑した場合, 結実率は44~74%であった. また, 獲得された実生の三倍体率は正逆交雑間に大差はみられず, 92~100%と高かった.