1995 年 64 巻 1 号 p. 79-84
硫酸カルシウム, 硫黄華などの硫黄含有物質の施用がダイコンの赤心症発生, 肥大根の硫黄およびポリフェノール含有率に及ぼす影響を調べた.
硫酸カルシウム40~80kg•a-1の施用により赤心症の発生が軽減され, 肥大根の硫黄含有率が若干高まった. 過リン酸石灰によっても赤心症は抑制され, 肥大根中のリン, カルシウムおよび硫黄含有率が高まった.
炭酸カルシウム施用により肥大根のカルシウム含有率は高まったが, 硫黄含有率は高まらず, 赤心症は抑制できなかった.
硫黄華4~16kg•a-1の施用では, 施用量が多いほど赤心症の抑制効果が高く, 肥大根の硫黄含有率が高まった. また, 硫黄華施用による土壌酸度の低下の影響を少なくするために消石灰を併用すると硫黄華単用よりも赤心症の発生が多く, 肥大根の硫黄含有率は低くなる傾向にあった. このことから, 硫酸カルシウムによる赤心症の抑制作用はカルシウムではなく硫黄によるものであると考えられる.
赤心症の発生が抑制された硫黄華施用区では肥大根のポリフェノール含量が減少し, ポリフェノール酸化酵素活性が低下した.