園芸学会雑誌
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リンゴ樹の生育に及ほすACLSVフリーM. 9台木の影響
小池 洋男牧田 弘塚原 一幸
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1993 年 62 巻 3 号 p. 499-504

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抄録

M. 9台木が潜在感染しているACLSVウイルスを温熱処理によってフリー化し, この栄養系個体をM. 9-と命名して, その台木の特性について穂品種に'ふじ'中間台木としての特性については'世界一', 'つがる'ならびに'ふじ'を用いてM. 26との比較を行った.
1.M. 9-台木リンゴ樹では, 本試験期間中の9年間に, 従来のM. 9の場合のような枯死樹の発生を認めなかった. 台木として用いた場合, M. 9-はM、26よりわい化効果が高く, 果実の生産効率も高いことから, 1.5×4m~2×4.5m程度の栽植距離の密植栽培で利用性が高いと判断された.
2.マルバカイドウN1台木と組み合わせた4年生のM. 9-中間台木樹は, わい化効果と早期結実性に優れ, バーノットの発生が少ないため, M. 26より高い実用性が認められた. M. 26の中間台木部にはM. 9-より多くのバーノットが発生して偏平状となり, 樹勢は衰弱して果実も小果となった.

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