日本血栓止血学会誌
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特集:「血栓止血の臨床─研修医のためにIII」
5.ヘパリン起因性血小板減少症 (HIT)の治療
宮田 茂樹山本 晴子
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2008 年 19 巻 2 号 p. 195-198

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抄録

Point
(1)臨床的にHITが強く疑われる患者では,血栓症合併の有無に関わらず,すべてのヘパリン投与を中止するとともに,抗トロンビン剤で治療を開始する.
(2)血小板数が回復するまでは(少なくとも100×109/L以上,できれば150×109/L以上まで)ワルファリンを投与しない.
(3)ワルファリンは血小板数回復後,抗トロンビン剤と併用しながら,低維持用量から投与を開始し,治療域に達した時点でワルファリン単独療法への切り替えを行なう.
(4)HITが強く疑われる患者には,血栓症の合併の有無に関わらず,低分子ヘパリンを投与しない.
(5)HITの既往患者において心臓大血管手術を施行する場合には,HIT抗体が陰性化するまで待機し,その後,未分画ヘパリンを用いて人工心肺の抗凝固を行うことが望ましい.

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© 2008 日本血栓止血学会
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