2019 年 65 巻 2 号 p. 71-82
CLTパネル脚部の接合部の仕様を引きボルトとしたもの,およびビス留め金物のみとしたものについて,小幅CLT耐力壁の静的水平加力実験および仮動的水平加力実験を行い,これらの接合部の違いがCLT耐力壁の力学特性および地震時挙動に及ぼす影響について調べることにより,ビス留め金物接合の変形性能を考慮した合理的な耐力壁の可能性について検討した。また,時刻歴地震応答解析の結果を実験結果と比較することにより,解析モデルの妥当性を調べ,これを用いて各耐力壁における地震入力と応答変位の関係を調べた。ビス留め金物を用いることにより,静的水平加力実験において降伏耐力,最大耐力が20%高くなり,仮動的水平加力実験では同一の地震波に対して最大応答変位が小さくなる傾向が見られた。さらに時刻歴地震応答解析結果からも同様な傾向が確認できており,ビス留め金物接合のみによる耐力壁の有効性が示唆された。