木材学会誌
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カテゴリーII
各種構造用面材を用いた釘接合部の一面せん断特性と変形性状の把握
小川 敬多 原田 真樹渋沢 龍也宮本 康太
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2018 年 64 巻 4 号 p. 139-148

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抄録

中層・大規模建築物の木造化が進むなか,強度性能に優れた構造要素の開発が求められる。面材を用いた構造要素の開発はその方策の一つであり,その強度性能を高めるうえで,釘接合部のせん断性能の向上が重要である。本研究では,強度性能に優れた構造要素の開発に資する知見の獲得を目的として,構造用合板,ミディアムデンシティファイバーボード(MDF),パーティクルボード(PB)を側材とした釘接合部の一面せん断性能を実験により明らかにした。荷重-スリップ変位曲線から降伏耐力を求めた結果,MDFを用いた釘接合部はスギ合板のそれよりも高い値を示し,PBの釘接合部はカラマツ合板のそれに匹敵する値を示した。また,試験中の釘頭付近の様子を観察した結果,加力初期は外観上で顕著な変化は認められず,降伏時では釘頭が側材にめり込み始めた。釘の引き抜けは顕著には現れなかった。この様子は側材に用いた面材の種類に関わらず共通していた。

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© 2018 一般社団法人 日本木材学会
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