木材学会誌
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一般論文
高炭素固定能を有する国産早生樹の育成と利用(第1報)
センダン(Melia azedarach)の可能性
松村 順司井上 真由美横尾 謙一郎小田 一幸
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2006 年 52 巻 2 号 p. 77-82

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抄録

熊本県内に植栽された樹形・成長ともに良好な17年生センダン(Melia azedarach)を対象に,その材の性質を調べるとともに樹幹内変動について検討した。肥大成長は良好で胸高直径は21.4 cmから32.7 cmであった。地上高 3 mまで髄付近の年輪幅は広く,4年輪目以降は地上高に関わらず良好な成長を保ちながら安定する傾向を示した。気乾比重は,放射方向には髄から樹皮側に向かって,軸方向には地上高が高くなるにつれて緩やかな増加傾向を示した。気乾比重の樹幹内分布から,高比重で安定した優良材部と低比重で変動が大きい低質材部が存在する可能性が認められた。気乾比重と縦圧縮強さとの間には1%レベルで有意な正の相関関係が認められ,縦圧縮強さの樹幹内変動は気乾比重の変動と類似していた。樹形が傘型であることから,地上高 4 mまでの材が利用されてきたが,枝打ちによって樹幹を通直にすることは,地上高 4 m以上の部位の利用を可能にすることがわかった。

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© 2006 一般社団法人 日本木材学会
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