肺癌
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症例
11年の経過で原発巣が明らかになった原発不明縦隔リンパ節癌の1例
曽我部 将哉明畠 良太齊藤 樹岡田 真也坪地 宏嘉中野 智之
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2022 年 62 巻 5 号 p. 382-388

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抄録

背景.原発巣が明らかでなく,肺門縦隔リンパ節のみに病巣を認める原発不明リンパ節癌を経験することが稀にある.症例.50歳,男性.X年に胃癌に対して幽門側胃切除術を施行.術前FDG-PETで大動脈下(LN#5)領域に11 mm大のFDG集積を伴うリンパ節を認めたが,生検は希望しなかった.X+1年にリンパ節は3 mmまで自然縮小,CEAは胃癌術前56.6 ng/mlから8.6 ng/mlまで低下した.しかしX+2年よりLN#5は緩徐に再増大,X+11年に24 mm大となり,CEAも1760.4 ng/mlまで上昇,新規に左肺S1+2に結節が出現したため手術の方針とした.胸腔鏡下にLN#5を摘出および左上大区域切除術を施行.病理診断は肺病変,LN#5は共に腺癌,免疫染色でTTF-1,napsin A陽性で肺原発を強く示唆する所見であった.11年後に出現した肺病変を原発巣とする肺癌および縦隔リンパ節転移と考え,pT1bN2M0 stage IIIAと診断した.結論.原発不明リンパ節癌は長期経過後に原発巣が出現する可能性があり,長期にわたる経過観察が重要であることを示唆する教訓的な症例であった.

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© 2022 日本肺癌学会
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