肺癌
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症例
オシメルチニブによる治療後の手術検体で混合型小細胞肺癌と診断されたEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の1例
岩見 枝里松﨑 達佐々木 文江口 圭介寺嶋 毅
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2020 年 60 巻 4 号 p. 341-347

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抄録

背景.EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の耐性機序として,最も頻度が高いのはT790M変異の出現である.変異出現後はオシメルチニブが有効であるが,いずれ耐性化する.オシメルチニブによる治療中に病勢進行を認め,手術検体により混合型小細胞肺癌と診断したEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の1例を経験したので報告する.症例.46歳,男性.多発脳転移を伴うEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対してエルロチニブを開始し,原発巣と脳転移は縮小した.11カ月後,原発巣の増大と新規脳転移の出現を認め,原発巣より再生検を行った.T790M変異陽性であり,オシメルチニブを開始した.原発巣の増大を認めたが,脳転移を含め他の病変は制御されていたため原発巣切除を行った.手術検体で腺癌と扁平上皮癌の成分を含む混合型小細胞癌と診断された.結論.オシメルチニブによる治療後に,原発巣の切除検体で混合型小細胞肺癌と診断されたまれな1例を経験した.EGFR-TKI使用中に病勢進行を認めた場合は,組織型の主体が変化している可能性がある.十分な大きさの検体を得られる再生検を積極的に行うことが重要と考えられた.

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© 2020 日本肺癌学会
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