運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
原著
地域在住高齢者における社会参加の類型と座位行動・身体活動パターンとの関連
天笠 志保菊池 宏幸福島 教照小田切 優子高宮 朋子岡 浩一朗井上 茂
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2018 年 20 巻 1 号 p. 5-15

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抄録

目的:地域在住高齢者を対象に,加速度計を用いて座位行動および身体活動を評価し,その詳細なパターンと社会参加の類型との関連を検討すること。

方法:2010年に3地域(東京都文京区・府中市・静岡県小山町)で実施した高齢者調査(対象:当時65~74歳の男女2,700人を無作為抽出)に回答(2,045名)し,追跡調査にも同意した1,314名に対して,2015年に追跡調査を行った。このときに加速度計の装着に同意した478名に,加速度計(HJA-350IT)を連続7日間装着するよう依頼した。座位行動,低強度身体活動(LPA)および中高強度身体活動(MVPA)を評価した。社会参加は国民健康・栄養調査で使用された項目を用いて評価し,個人的活動と地域的活動に類型化した。社会参加の類型と座位行動および身体活動との関連は,年齢,居住地域,同居者の有無,仕事の有無,自動車の運転,body mass index,主観的健康感,身体機能の制限,加速度計装着時間を調整した重回帰分析にて男女別に検討した。

結果:有効なデータは450名より得られた。地域的活動レベルが高いことは細切れ(10分未満)のMVPA(short-bout MVPA)時間が長いことと関連していた(男性:β=1.56,p=0.03,女性:β=2.91,p<0.01)。また,女性では地域的活動レベルが高いことは座位時間が短いこと(β=-11.43,p<0.01)およびLPA 時間が長いこと(β=8.13,p=0.03)と関連していた。

結論:地域的活動への参加を促すことは高齢者のshort-bout MVPAやLPA時間を延長する可能性が示唆された。

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© 2018 日本運動疫学会
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