材料
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高分子材料のシャルピーおよびアイゾット衝撃試験に関する実態調査の結果について
小林 政治郎山城 貞男植村 幸生
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1964 年 13 巻 127 号 p. 243-248

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抄録

高分子材料の衝撃試験がどのような試験機, 試験方法で行なわれているか, その実態を把握し, 問題点を明確にし, それを解明するため, シャルピーおよびアイゾット衝撃試験につき, それぞれ16事業所を対象にして実態調査を行なった. その結果次のことがわかった.
同一試験片による衝撃値は, シャルピー衝撃試験機の場合には, フェノール樹脂積層板では有意差はなかった. しかし硬質塩ビ板ではあきらかに有意差があり約7.4~4.0kg-cm/cm2の間に分布していた. そのおもな原因は支持台形状の差によることがわかった. アイゾット衝撃試験機の場合のフェノール樹脂積層板の衝撃値は, アイゾット専用機とシヤルピーとの併用機の衝撃値の間のに有意差があり, それぞれのグループのなかでの衝撃値には有意差がなかった. 硬質塩ビ板のアイゾット衝撃値は試験片を取り付ける面の不良, およびハンマの刃縁が正常なあたりをしないため試験機間で大きくばらつき, あきらかに有意差があり約7.5~5.0kg-cm/cm2の間に分布していた.
各事業所製の試験片の工作精度は良好でなかった. それらの試験片の同一試験機による衝撃値は, フェノール樹脂積層板では試験片の工作の良否, 工作法にかかわりなく衝撃値にさほど影響がなかったが, 硬質塩ビ板では同一材料にかかわらずシャルピー衝撃値は約9~3kg-cm/cm2, アイゾット衝撃値は約7~3kg-cm/cm2の間に分布していた.

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