Papers in Meteorology and Geophysics
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1971年9月の本州南岸の異常潮位について -第2部.東京湾における異常潮位-統計的調査-
蔵重 清
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1972 年 23 巻 4 号 p. 259-276

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抄録

"1971年9月異常潮位"で問題にされた,広範囲のしかも長期間にわたった現象に着目して東京湾における過去事例の抽出を試みた。この際,日平均潮位偏差に対しさらに31日移動平均よりの偏差を求め,この偏差の度数分布の標準偏差を単位に用いて潮位を測り,湾における浅水効果の除去を行なった。異常潮位は東京湾においては年に1-2回程度生じ,湾全体にわたって標準偏差の2-3倍程度の変動が少なくとも3日間持続するものであることが,潮位変動の解析から分った。
異常潮位時の気象・海象の特性を平年のそれと比較することにより抽出した。その結果,おだやかな気象条件の下で生じ,波浮(大島)の海水温と関係が深いことが分った。すなわち高(低)水温時に潮位上昇(下降)が対応し,しかもこの時弱風ではあるが,海風(南風系)が高水温時の潮位上昇を,陸風(北風系)が低水温時の水位下降をそれぞれ助長していることが判った。

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© 気象庁気象研究所
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