2019 年 21 巻 p. 039-047
本稿では,我が国の港湾政策において重要度が高まっている日本-東南アジア航路を対象に,2003年,2008年,2013年の3時点のデータを用いた経路選択モデルにより日本荷主の海上輸送ニーズの変化について分析,考察した.全国輸出入コンテナ貨物流動調査をもとに荷主の経路(日本国内仕出港)選択に関する各時点のロジットモデルを構築し,そのパラメータの安定性と限界効果から,2008年は特異な状況下であったこと,荷主は3時点を通じて国内輸送コストを重要視しておりこの低減が東南アジア航路政策において重要であること,海上輸送時間と寄港頻度のトレードオフなど航路体系の変化が荷主の選好に影響を及ぼしている可能性があることを明らかにした.