社会政策
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小特集■今日の労使関係の動向と課題
製造業派遣・請負労働者の組織化過程の検討
―紛争の様態と組織化の戦略との連関から―
今野 晴貴
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2018 年 9 巻 3 号 p. 77-88

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抄録

 本稿は,2000年代に急速に広がりを見せ,「偽装請負」や「派遣村」などの問題によって大きな社会的注目を浴びた製造業派遣・請負労働を対象としてその労使関係を検討する。製造業派遣・請負労働に対する労働運動が社会に与えた影響の大きさに比して,その実態はあまり解明されていない。本稿が焦点を当てるのは,個別紛争を通じた労働者の組織化過程である。 上記の課題を検討するために本稿が注目した点は,第一に,企業外的な組織化戦略と企業内的な組織化戦略の間の葛藤であり,第二に,法的な権利構造が与えた組織化戦略への影響である。製造業派遣・請負労働の組織戦略は多様でありながら,法的な権利構造に制約され,リーマンショックを機に直接雇用・金銭解決を求める裁判闘争に収斂することとなった。

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© 2018 社会政策学会
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