社会政策
Online ISSN : 2433-2984
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計画的避難・帰村・復興をめぐる行政・住民の葛藤(<特集1>福島原発震災と地域社会)
佐藤 彰彦
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2013 年 4 巻 3 号 p. 38-50

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抄録

本稿は,福島第一原発事故の影響から全村避難を余儀なくされた福島県飯舘村の政策決定過程に注目し,住民・行政間に生じる衝突や葛藤を描き出すことを第一の目的とする。また,こうした状況が現在の地方自治の構造に深く関係している可能性についても言及する。四半世紀にわたって<自主・自立>の村づくりを展開してきた飯舘村。昭和の合併時から根強く残る地域間対立と深刻な冷害といった長年の行政課題を解消すべく,村は1980年代から村民の村政への関与を積極的に進めていく。こうした取組みは地域リーダーを輩出し,地域主導の取組みを促進しながらも次第に変容を遂げ,そこで露呈した問題は3.11以降に顕著化する。避難,帰村,復興に向けた各フェーズで村は国と政治交渉を行う。そこには,村が意に反しながら<国是>に従わざるを得ない状況と,交渉のために時に民意さえ<抹殺>せざるを得ないきびしい<葛藤>が存在する。

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© 2013 社会政策学会
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