社会政策
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フランスにおける医療保障制度の変容 : 共済組合による相互扶助から一般制度による医療保険へ
松本 由美
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2011 年 2 巻 3 号 p. 79-90

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抄録

本稿の目的は,20世紀前半にフランスで生じた医療保障をめぐる変化を,戦争の影響に着目しながら明らかにすることである。歴史的に眺めると,フランスにおける医療保障の制度的な枠組みは,共済組合による相互扶助から第一次世界大戦を経て医療保険へと変化した。さらに第二次世界大戦後には新たに創設された一般制度のもとでの医療保険が成立した。このような医療保障制度の変容を捉えるために,本稿では,フランスの医療保障に関して歴史的に重要な役割を担ってきた共済組合と医師組合の動向に焦点を当てて検討を行った。本稿での考察を通じて,医療保険に関しては,第二次世界大戦前後において重要な不連続性があること,および両世界大戦の経験が二つの医療保険創設の時期と不連続性の形成に少なからぬ影響を与えたことが明らかとなった。

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© 2011 社会政策学会
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