農研機構研究報告
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1章 農耕地の除染と農業用水の放射性物質への対応
空中ガンマ線測定システムを用いた除染前後の農地のモニタリング技術
土原 健雄 石田 聡
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2021 年 2021 巻 8 号 p. 13-18

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抄録

農地の除染の効果を確認するためには,除染前後で放射能モニタリングが必要である.本稿では,農地の除染前後の放射性セシウムの分布状況を迅速・高精度で把握する空間ガンマ線測定システムと,システムをラジコン制御可能な移動走行車に搭載したモニタリング技術を紹介する.NaI(Tl)シンチレーション検出器を使用した本測定システムの全体の重量は5 kg 程度であり,ここで紹介する移動走行車以外にも,無人ヘリや気球等への搭載も可能である.高感度の検出器を用いることで10 秒間の測定で十分な測定精度が得られ,移動しながらの測定が可能であることが示された.本システムでは測定と同時に測定地点の位置情報が記録されるため,ガンマ線強度の空間分布を把握できる.また,得られた測定結果は空間線量率に換算可能であることが示され,二つのモニタリング試験では,いずれの圃場においても除染前後で空間線量率が低下していることが確認できた.農地の除染効果の確認という観点からは,本システムは十分な解像度を有しており,除染前後のガンマ線強度を容易に可視化することが可能である.

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