西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
図説
びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫に伴った腫瘍随伴性天疱瘡の 1 例
湯川 圭吉岡 啓子市原 弘善立石 千晴鶴田 大輔
著者情報
ジャーナル 認証あり

2021 年 83 巻 2 号 p. 95-96

詳細
抄録

症例:74 歳,女性

主訴:口腔内・眼瞼周囲・陰部のびらん,体幹の弛緩性水疱

既往歴:びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫(diffuse large B cell lymphoma:DLBCL)

現病歴:初診約 6 年前に当院血液疾患センターで DLBCL Stage Ⅳ と診断され,以後化学療法や放射線療法で加療されていたが効果なく,9 カ月前に通院を自己中断していた。全身倦怠感を訴え救急搬送され,両側眼瞼,口腔内,陰部に皮膚症状を認め,当科に紹介となった。

初診時現症:両側眼瞼,口唇と口腔内粘膜にびらんを認め(図 1 a),体幹や陰部には紅斑と弛緩性水疱,びらんが散在していた(図 1 b)。右肘の弛緩性水疱から皮膚生検を施行した(図 1 c)。

血液検査所見抗デスモグレイン 3 抗体 351 index(7 未満),抗 BP180 抗体 38.2 index(9 未満)

病理組織学的所見:表皮内水疱と棘融解を認めた(図 2 a,b)。

免疫組織化学的所見:蛍光抗体直接法:表皮真皮境界部に IgG と C3 の線状の沈着を認めた(図 3 a,b)。

蛍光抗体間接法:正常ヒト皮膚表皮細胞膜(図 4 a)およびラット膀胱上皮(図 4 b)に IgG の沈着を認めた。

正常ヒト表皮抽出蛋白を基質とした免疫ブロット法:210 kDa envoplakin と 190 kDa periplakin に反応する自己抗体を認めた(図 5 )。

治療および経過:腫瘍随伴性天疱瘡(paraneoplastic pemphigus:PNP)と診断,ステロイドパルス療法施行後,プレドニゾロン 50 mg/ 日(1 mg/kg/ 日),リツキシマブ 500 mg とベンダムスチン 300 mg(150 mg を 2 回)の投与を行ったが,皮膚症状は改善に乏しく,敗血症を併発し入院後 1 カ月で永眠した。

著者関連情報
© 2021 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top